つぼみ
宮下奈都 著
光文社
2017年8月20日 発行
『スコーレNo.4』のスピンオフ作品3編を含む6編が収められています。
手を挙げて
あのひとの娘
まだまだ、
晴れた日のこども
なつかしいひと
ヒロミの旦那のやさおとこ
の6編です。
大好きな宮下さんの作品で、どれもよかったですけれど、
とくに「なつかしいひと」が、気に入りました。
宮下ファンでなくても、この短編は読んでほしいなあ。
ふりってね、誰かに見せるためじゃないの。自分自身にそういうふりをするの。
本心にしたかったんだと思う。自分を騙したんじゃなくて、自分を信じたんでしょ。22ページ
なるほど、と思いました。
この人は、断るのが得意ではない。断るのは失礼なことだと思っている。おすして、その失礼なことを自分にさせようとした相手を、もっと失礼だと恨むのだ。136ページ
ああ、似てるな私と。面倒で嫌な考え方をする奴だな。
どっちに進んだらいいのかわからなくなったときは、後悔しないほうに向かうんじゃなくて、
後悔しないようにって考えるから選べなくなるんだ、
ほんとうに切羽詰まったら、少しでも心地いいほうへ進め 146ページ
っていう言葉が好きになりました。
僕も分厚い本を読みたかった。できるだけ長くその本の中に留まっていられるような、没頭して現実世界へ戻ってこなくて済むような本がよかった。164ページ
というところに、ああ、そういう時ってあったなあ、って共感できました。
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
お帰りに、応援のクリックをしていただけると、更新の励みになります。