「このごろ、肩が痛くてさ。上げると痛いの」
「それ、50肩じゃないの」
「え、今頃、50肩?」
「もう60歳過ぎてるじゃん」
「あなた、今まで、そんなふうに痛くなったことあるの」
「今回、初めて」
「じゃ、遅れてきた50肩じゃないの」
「そうなのかなあ」
「若いってこと?」
「私、50歳で50肩になったよ」
「私は、50歳過ぎてたよ」
「私、病院行ったよ」
「私も。レントゲン撮って、マッサージに通った」
「私なんか、薬も出たよ」
「え。50肩で ?」
「その医者、大丈夫だった?」
「マッサージは、いいみたいよ」
「指名できるお医者さんもあるよ」
「昔、アイロン振り回せって言われたよ」
「私は、動かさないよう言われたよ」
「友だちはね、夜寝がえりうてなくて、旦那さんにささえてもらって寝てたんだって」
「そりゃ、ただのろけられただけなんじゃないの」
「いやいや、泣くほど痛かったってさあ」
「え、私、熟睡してた」
「あなた、にぶいからよ」
「私、半年で治った」
「じゃ、大丈夫かな」
「大丈夫、大丈夫」
「そうかなあ」
「ダメなんじゃない、素人判断は」
「やはり、一度は、お医者さんに行きなさいね」
「最近、肩が上がらない」
「じゃ、お医者さん行きましょう」
これだけの中身なのに、
このおしゃべりの量。
人の話をほとんど聴かない、
話したいことだけ話す、
アラカンおばさんの集団は、怖い。
中に、入れない。
この会話の態をした似非会話の、どこに、割り込めばいいのか。
入れない。
ついていけない。
寡黙な人になるワタシ。
と、今まではそうだった。
でも、
でも、
でも、
残念ながら、最近、この中に入れてしまうこともある。
自分が、怖い。
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