アラカン娘とアラ卒母の、ミニ押し入れ片付け顛末(番外編)
引き続き、ミニ押し入れ片付けからの話です。
奥から出てきたものの一つに、ティーカップセットがありました。
モノは、上等でした。
オレンジと茶系の花柄のカップ。
だが、3客しかなかったのです。
母は、言いました。
あ、これ、結婚して、2人で初めて東京のデパートで買ったものなの。
懐かしい。
こんなところに入っていたんだあ。
すっかり忘れてた。
それはそれは懐かしそうに話してくれました。
そうなのです、新婚間もない両親が、お出かけして買った食器でした。
「東京の」というところが、かわいいじゃないですか。
当時の2人にとっては、大奮発だったのだろうと思います。
和食器ばかりのなかに、カップとソーサーのセットは、
若い2人のうきうきした気もちが込められていたのかもしれません。
デパートでのお買い物って、きっと、そんなにできなかっただろうと思います。
それは、きっと、両親の家庭にとっては、ぜいたくなことだったと思います。
私は使った覚えがないのですが、
2人にとっては、思い出のカップなんですね。
カップを眺めながら、カップの行方を迷っている母に、
「迷うなら、とっておいたらいいよ。
洗えばきれいになるし。
3人分しかないけど、今は、母さんと私の分、2人分で充分」
と私は、心からそう思って言えました。
(ブラッククレヨンは、影を潜めておりました)
母は、うれしそうに、洗って戸棚にしまいました。
食器棚の最前列に並べていました。
そのかわりに、あまり使っていないマグカップが数個、処分されました。
普段まったく出番がなくて、ふたりとも存在を忘れていたものとか、
もういいかな、と思うキャラクターものとか、
銀行でいただいたものとか。
マグカップだけでも結構いらないものがありました。
2人であきれました。
その思い出の骨董品カップで3時のお茶をしました。
頂き物のお菓子とともに、紅茶。
なつかしそうでした。
嬉しそうでした。
きっと、父の事思い出しているんだろうと思いました。
捨てちゃえば、なんて言わなくて、本当によかったと思いました。
若かった2人、どんなだったんだろうなあ。
そのころの2人を見てみたい。
私より年上のカップでの紅茶は、とてもおいしかったです。
こんなのんびりした時間があるって、幸せなことなんでしょうね。
お互い高齢者なので、いつまで続くかわからないけれど、
一瞬一瞬を大切にしていきたいと思いました。
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