か「」く「」し「」ご「」と「
住野 よる 著
新潮社
2017年3月発行
を読みました。
いい年したおばさんが手に取るのがはばかられる表紙の絵。
イラストが、アニメ本のようだし。舞台は中学か高校でしょうし。
どう見たって若者がターゲットの本です。
では、どうして、読んだかというと、行きつけの美容院の美容師さんのお勧めです。
だが、30代男性のおすすめ本は、60代おばさんの読書の趣味に合うかといえば、
無理がある。
彼のお勧めでなければ、絶対読まなかった類の本です。
さて、どんなお話かしら、とページをめくる。
読み始める。
あら、ちょっと、わからない世界。
こんなピュアな時代のことは、きれいさっぱり忘れちゃっています。
高校生だったのは、今から、半世紀近く前なんだもの。
おまけに私、女子高育ち。
こんな時代は、通ってこなかったもの。
じゃ、これ、義理で読むのだから、ささっとね、流し読みでいくか。
そう思って読んでいたのだけれど、
時々、なんだか、素敵な言葉が目に飛び込んでくる。
世代を超えた感があるのは、どうしてかな。
作者の力量なんでしょうね。
気にいった描写がいくつもありました。
30ページ
僕の体は血管にぬるま湯を流し込まれたような心地よさを味わった。
僕も案外、気持ちと体が直結しているタイプなのかもしれない。全身がむず痒くなってきた。それは、心配ごとが解けて体を流れていく感覚のような気がした。
54ページ
分かる。憧れてしまうんだ。ぼくや宮里さんのように、色々なことに気を遣いながら生きていると、それらを全部ぶっとばす太陽と北風を全部混ぜ込んで、旅人の憂いや不安を力ずくでひっぺがすようなあのパワーに。
私も、そんなパワーにあこがれる一人です。
136ページ
人を傷つけ、気にしないでいられる人間なんているのだろうか。(中略)謝って、言い訳をして、彼女の傷ついた心が安らぐのだろうか。もし許してくれたとして、心が軽くなるのは私だけなのではないのか。
謝るって、そう、自分のためのときがあるかも。
許してもらうことが、目的になってしまっている謝罪。
148ページ
ひょっとすると彼と私は、想像していたよりもずっと、似ているのかもしれない。だからきっと、心の内が分かるのだ。だからきっと、嫌いなのだ。
自分を鏡にうつしたような人に出会うと、苦痛。
163ページ
友達だと思ってる相手から過度に気を遣われることは、馬鹿にされることなんかよりずっときつかったりする。
友達とは、対等な関係でなくちゃ居心地よくない。
あちこちの少年少女の言葉から、なるほど、そうなんだよ、うまいこと言うねえ、っていうところがあって、
とても楽しめた青春本でした。
美容師さんに感謝。
世代の違う人に勧められた本も、読むべし。
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