「カーテンコール!」
加納朋子 著
新潮社
2017年12月発行
今まで、この作者の本は、
掌の中の小鳥
ガラスの麒麟
ささらさや
モノレールねこ
等を読んでいます。
本屋さんで見かけると手に取ってしまう作者の一人です。
今回読んだ、この本。
明るい表紙。
軽妙な誘い文句の、帯の文章。
気軽な気持ちで読み始めました。
閉校が決まった女学園が舞台の、
様々な事情を抱えた卒業できなかった女子大生の、
けっして軽くないエピソード。
6編の連作短編集です。
4年間で卒業できなかったのは、
ただのお寝坊さんでもなく、単なる怠け者でもなく。
他の人には簡単にわかってはもらえない彼女たちの苦しさ。
文体は、読みやすくて、軽い感じだから、
読んでいても重た~~い気分にならなかったけれど、
帯の文章から想像する物語とは、ずいぶんと印象が違いました。
自分のことが好きになれなかったり、
自分を許せなかったり、
心が壊れそうで身体を壊してしまったり。
病を抱えていたり。
多かれ少なかれ、人はこんなところがあるのだと思います。
彼女たちが、若いのも手伝って、良い方向に向かっていけて、救われました。
それを読んでいると、
もう年をとってしまった自分だけど、
ダメなところがあっても、
どうにかやっていければいいんじゃないのぉ、って思えて来て。
どうにか、やってきたじゃないの、私、って思えて来て。
若い頃の私に会って、
ねえ、あなた、ぐちぐちどよ~~んとしてるなら、この本読みなさいな、
って言ってあげたい。
理事長からこの学生たちに向かっての言葉のなかで、こんな言葉がよかったです。
・もう駄目だ、耐えられないと思ったとき、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育ててください。自分の言葉で、直接「助けて」と言える人を探してください。
・恥なんて、かいてなんぼです。
・私は素晴らしい。が魔法の呪文。
20代、30代のときに読んだら、もっともっと心に響いたかも、と思います。
♪お立ち寄りいただき、ありがとうございます。♪
お帰りに、応援のクリックをしていただけると、更新の励みになります。