用事があって、電車に乗る機会がありました。
・・・・・・
向こうの駅で降りた後にタクシーに乗る予定。
財布には、万札しかない。
これでは、タクシーの運転士さんに叱られちゃう(かもしれない)。
舌打ちされちゃう(かもしれない)。
以前、一度だけ、
「あ~~、万札ぅ?お客さん、崩して、千円札用意してから乗ってよ。おつりたいへんなんだよ」と叱られたことがとてもとても不快な思い出となって残っている私。
気が小さいので、それ以来、タクシーに乗る前に、必ず千円札を用意するようにしている。そして、「近くてごめんなさい」とも言ってしまう。
タクシーは、苦手だ。
電車に乗るのに、いつもはパスモで乗っている。
でも、万札を崩すために、切符を買って乗車しようと思った。
あらら、久しぶりのとっても久しぶりの、券売機。
パスモはオートチャージにしているので、ほんとに、券売機には、縁がない。
券売機の前に立つ。
券売機に並んでいる人は、ゼロ。
最近、使われる機会が減ったのね、きっと。
これなら後ろに人はぜったいに並ばない。
よかった。
財布をだして、いざ、切符購入(というか、両替目的なので、スミマセン)。
切符、大人、一枚。180円。
ここまで、よし。
一万円札を、入れる。
戻ってくる。
角が丸まっていたのかな、と思って、伸ばして入れる。
戻ってくる。
そういえば、こういうこと、あったっけなあ。
じゃ、裏返しにして入れてみようかな・・・・・
「札が、ちゃんと入ってないんだよ」
斜め後ろから、ふっきらぼうな声がした。
見れば、20代後半くらいの、青年が立っている。
まあ、こなれすぎた服装、これで電車に乗るのか君は?と一瞬思った。
今入れるとこじゃん、余計なお世話っぽいぞ。
それに、なによ、隣があいてるじゃん、ほっといてよ。とも、思った。
「ここに札を入れるの。もうちょっと押し込むの。そんなんじゃ、入っていかないでしょ」
なんだか、ぶっきらぼうな言葉が、また頭の上から降ってきた。
わかってるよ、今入れようとしたとこじゃん、せっかちな奴だな。
と、思った。
でも、おっしゃる通り、と受け流して黙ってお札を入れると、無事、お札は機械に飲み込まれていった。
それを見届けて、青年は、隣の販売機で切符を買っていた。
「親切にありがとうございました。助かりました」
と言って、私は深々と礼をして、改札口に向かった。
元気な急ぎ足にならないよう、ゆっくり歩いて。
あの青年は、券売機の前に立つ私を見て、
「お、おばあちゃんが、切符買えなくて困ってるんだな」と思って、声をかけてくれたんだ。
白髪頭から、きっと、私を年齢以上に見たんだ。
切符くらい買えるさ、とは思ったけれど、せっかく、若者が親切に、おばあちゃんに救いの手を差し伸べてくれたんだ。
高齢者のたしなみとして、きちんと感謝しなくちゃいけない。
そう思って、途中から、おもしろくなっちゃって。
ちょっと、そういう青年がいるってことが、うれしくなっちゃって。
このままもっとばあさんになっても、意外と、助けてくれる人っているかも、と、うれしくなっちゃって。
笑いそうになりながらも堪えて、きちんとお礼が言えてよかった。
あの青年は、また、どこかで、困っているお年寄りに出会ったら声をかけるんだろうな。
見かけじゃわからない、親切な青年だったなぁ。
お礼に、心の中で、「これからの人生、いいことがたくさんありますように」とお祈りしてあげました。
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親切にしていただけて、これも、白髪染めをやめた効果かもしれないと思った。
白い頭の人が、券売機の前に立っていたから、わからなくて困ってるんだろうなって、思ったんだろうね。
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