最初のシャンプーが終わって、鏡の前の席に座った。
「今日はどうしましょうか」
と言う美容師さんと鏡の中で、目が合った。
思わず、笑ってしまった。
紺色のTシャツ。濃いカーキのパンツ。
同じだった。
同じ色合いの服を着た二人が、並んでいた。
なんだかおかしくて、笑っちゃった。
あんまり笑っていてもおかしなおばさんになってしまう。
だから、腹筋に力を入れて、笑いをこらえた。
いま、思い出したところ、そんなにおかしな出来事じゃなかったな。
どうして、笑いが止まらなかったんでしょ。
「あ、僕も、今、それ言おうと思ったんです」
「お店に入って来たときは、気が付かなかった」
「僕もです、今、鏡の中で並んでいるのを見て、気が付きました」
鏡の中には、アラカンと30代男子の、ペアルックが映っていた。
そう言えば、以前、晩秋の街で買い物していて、出会ったときも、
よく似たコートを着ていたなあ。
趣味が合うので、髪型もお任せで安心していられるのかなと、ちらっと思った。
関係ないか?
話は変わる。
あら、どんぐりの帽子だ。
前の方の吊革につかまっている高校生くらいの男の子。
バスは立っている人が10人くらいの込み具合で、
見通しがよかった。
後ろの席に座った私から、彼がよく見えた。
彼の髪型は、どんぐりの帽子をかぶったみたいに、裾の方がぐるっと刈り上げられている。
今時のファッションなのか。
それは、アラカンにはわからない。
でも、あ、どんぐり、って瞬間的に思ってしまったら、もうおしまい。
笑いのツボにはまってしまって、
ど、どんぐりだっ、かわいい、おもしろい、ぷぷっ、どんぐり~~~。
一人で、下を向いて笑っている不気味なアラカンになってしまった。
笑いのツボ、いつはまってしまうか、わからないから恐ろしい。
いつぞやは、お葬式で、聞いたことのないお経の節回しが、笑いのつぼにはまってしまって、
難儀したっけなあ。
若かったから、何でもおかしかったのかな。
そういうお年頃ってほんとにあったな。
今日も、ふふっと、笑える出来事があるといいなあ。
皆様も、ふふっと笑える出来事に出会えるといいですね。
よい一日を!!
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