母を耳鼻科に連れて行った時の事。
いつも、通院セットの巾着袋を私が持っていくことになっている。
その巾着袋には、
ほぼ日手帳カバーに入れた、病院メモノートと、お薬手帳が入っている。
そのほかに、ほぼ日手帳カバーには、診察券の束も入っている。
予約票も入っている。
保険証は、母の財布に入っている。
いつも持って歩くので、そうしている。
病院メモノートは、文庫本サイズのノート。
これに、お医者さんでのやりとりや、お薬変更のこととか、体調のこととか、
何でもメモしてある。
私は、いつも、診察室でもこのノートにメモを取っている。
入院中の点滴の薬品名と時間まで書いてある。
叔父がみて、
「なんだ、カルテみたいにいっぱい書いてあるじゃない。
これは、姉さんの体の事、これ見ればわかるようになってる。
まめだねえ、クレヨンは。」
と、半ば呆れた風に褒めてくれたシロモノ。
さて、病院の支払いが終わり、
薬局に行き、
お薬手帳を出そうとしたら、ない。
そうだった、先日病院から帰った時に、お薬手帳を巾着に入れ忘れたから、
後から母に渡して、
「病院セットに入れておいてね」
って頼んだのだった。
母め、やりおったなあ~~。
入れてないじゃんか。
家に戻って、母に、お薬手帳のありかを尋ねた。
知らない、という。
私が、前回の通院のあとに、後からお薬手帳を渡したことも覚えがないという。
怪訝な顔をしているだけ。
だから、探すように言った。
お薬関係のものを入れている棚の中や、
いくつかのショルダーの中を探したらしい。
でも、出てこない。
母は、完全に、私を疑っているようだった。
渡されてない、って目が言っている。
「もう一度、探してみて、それから疑って」
と言って、探してもらった。
小一時間たって、母の部屋に行く。
見つからないらしい。
なんだって~~。
お薬手帳、ないと困るでしょ。
お医者さんあちこちかかっているんだから。
お薬手帳見せて、って言ってくれるお医者さん、少ないけど。
薬局で、飲み合わせが悪いのを見つけて、医師に聞いてくれたことはあるから、
やっぱりお薬手帳、ないと困る。
「悪いけどさあ、私も、その棚の中、見つけていいかな」
そう断って、扉を開ける。
あるじゃん。
ちょこんと、隅っこに立ててあった。
そうかあ、そういうことね。
「小さい手帳だから、
ノートの背の部分だけしか見えていなかったから、
わからなかったんだねえ。」
と、言う私に、母は決まりなさげな顔。
めでたく、私の、冤罪は、晴れた。
私を疑ってた母は、しょぼくれていた。
でも、私への疑いを口に出していないので、
母は、私を疑ったことを謝りはしなかった。
意地っ張りめ。
冤罪は晴れたが、詫びは、ない。
理不尽だが、仕方ないことなのか。
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